クラウドファンディング学

クラウドファンディング学

Future Style

<未来型クラウドファンディング>

クラウドファンディング(Crowdfunding)とは、自らの企画やアイデアを実現するために、インターネットなどを通じて広く「群集(Crowd)」から「資金調達(Funding)」を行う方法です。

そして、普通クラウドファンディングで「資金」=すなわち「支援」を集めるには、まずは自分の友人・知人にプロジェクトの趣旨をアピールすることによって最初の支援を仰ぎ、そこから徐々にその輪を広げていくというのが一般的なスタイルと言えるでしょう。

しかし、もしそのプロジェクトが友人・知人はもちろんのこと、ほとんど世間から関心を持たれないような内容であったなら、たとえそれがどんなに自分では意義があると信じるプロジェクトであっても、残念ながらそこに集まる支援は限定的なものにならざるを得ません。

そもそもクラウドファンディングとは、「資金や人脈」を持たない個人や団体が、行政や大企業が手掛けることのない「ニッチな事業」を立ち上げる時にこそ有効な手法となるのではないかと思われます。

であれば、たとえプロジェクトの目的や内容が地味であっても、そしてむやみに友人・知人に頼らなくても、本来はそれなりに支援を集められるような構造になっていてしかるべきではないでしょうか?

そこで、「クラウドファンディング・ショップ」というもう一つの入り口を作ることで、これまで「目立たなかったり関心を持たれなかったプロジェクト」にも光が当たるようにしたいと考えました。

すなわち、リターンを前面に押し出すことによって、「今までクラウドファンディングの名前を知ってはいたけれど、興味を持ったり支援するまでには至らなかった人」はもちろんのこと、「そもそも名前さえ知らなかった人たち」にもアクセスルートを作ろうと。

「ショップ→商品(リターン)→プロジェクト」というような順序でもいいし、「商品→ショップ→プロジェクト」という順序でもいいでしょう。

従来の「プロジェクトそのものを直接訴える」という方法の他に、「間接的・最終的にプロジェクトへたどり着く」という新しい手法を加えるわけです。

そして、リターンもこれまでのような限定的な種類ではなく、ショップに並んだ多くの商品の中から自由に選択してもらえることになるので、結果的に支援につながる可能性も増えるのではないかと考えました。

また、最初に友人・知人に支援を要請するにしても、ショップスタイルであれば単なる「ショップの紹介・お知らせ」的な感じになるため、必然的に「依頼」という意味合いが薄まり、結果として「厚かましさ」を気にすることもなくなるかもしれません。

「そんなこと気にしなくても・・・・」と思うかもしれませんが、プロジェクトを立ち上げた友人や知人から突然支援依頼のメールが来て、戸惑ったり迷惑している人も少なくないのです。

クラウドファンディングでは「社会性」をアピールするプロジェクトが多いだけに、断りにくいという感情もあるのでしょう。

その社会性が「独りよがり」ではないかどうかの判断こそ、本来クラウドファンディングを通して見ず知らずの「世間」に問わなければならないわけです。

最初の段階でそのチェックを横からすり抜けてしまうと、起業はできても継続はできないという事態に追い込まれかねません。

それに対して、「クラウドファンディングショップをオープンしました」というような文面にショップのリンクを貼ってメールを出すのであれば、商品の展開次第ではむしろ楽しんでもらえる可能性もあるのではないでしょうか?


ところで、クラウドファンディングをショップスタイルにすると、従来とは異なり「プロジェクトの終了」という”期限”がなくなります。

つまり、継続的な支援を期待できるだけでなく、時間をかけてじっくりと取り組んでいくことが可能となるわけです。

現在のクラウドファンディングでは、プロジェクトの期間は大体1か月から3か月で、いわゆる短期決戦で「勝負」するのが一般的です。

まあ、それにはそれのメリットもあるでしょう。

しかし、地味で目立たないプロジェクトこそ、じっくりと構えて長期的な視点に立つことが重要ではないかという気がします。

ビジネスに限らず様々な場面において、「始めることはたやすいが継続することは難しい」とよく言われます。(あるいは「創業守成」という言葉もあります。)

「起業前の時点」で支援を受けられることは大きなメリットであり、それこそがこれまでのクラウドファンディングという手段の価値であったと言っても過言ではないでしょう。

けれども、初期投資を莫大に必要としないものであれば、むしろ一過性ではなく「継続的な支援」こそが必要になるのではないでしょうか?

クラウドファンディング・ショップであれば、その必要性に応えることができるのではないかと考えました。


ただ、クラウドファンディングショップでは、プロジェクトの内容は問われずに、単に商品の販売だけでお金を集めることも可能になってしまいます。

果たしてそれがクラウドファンディングと言えるのか?

あるいは、その行為が「支援」と呼べるのか?

「ただのショッピングに過ぎない」と言われてしまえばそれまでです。

けれども、アメリカのような寄付文化のないこの国で、もし「今以上にクラウドファンディングを広げて(盛り上げて)いこう」と思うのなら、やはり普通の正攻法とは異なるもう一つの道を示すことも大切ではないかという気がします。

実際のところ、別にどちらのやり方がいいのか?(正しいのか?)という結論を出す必要はないのかもしれません。

従来の方法とショップスタイルを組み合わせて使うことによって、思わぬ相乗効果が生まれる可能性もあるでしょう。

むしろ、その「ミックススタイル」こそが、これからクラウドファンディングにかかわるプレーヤーとその支援者にとって、そしてクラウドファンディングを広げていく上において、最も推奨される方法ではないかと思うのです。

新旧二つのやり方のバランスを取りながら、さらにショップにおいては志(目的)と商品(リターン)双方のバランスを取りながら、クラウドファンディングの可能性を探っていきたいと思います。